2025年1月16日
東宝株式会社

新・帝国劇場 設計者決定のお知らせ

「帝国劇場 エントランスイメージパース」
※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性があります

帝国劇場建て替え計画の概要

2代目となる現在の帝国劇場は、当社発祥の地、日比谷から程近く、対面には美しい皇居、三方はビジネスセンターの丸の内に囲まれたロケーションに位置し、世界に誇る設備と格調を有しています。

3代にわたる帝国劇場の歴史は、1911 年の開場以来綿々と続く、芸術性と大衆性の融合、進取の精神と舞台への熱き想いを今後も真摯に受け継ぎながら、新たな世紀に向け踏み出そうとしています。

新たな帝国劇場は、初代と現在の帝劇独自の特徴を更に発展させることを軸に客席・舞台は現状と同規模とし、ロビー空間やバックヤードを充実させ、劇場の演出技術を豊かにすることで、世界に発信する日本のフラッグシップの劇場として誕生します。

新・帝国劇場設計者

小堀哲夫/建築家・法政大学教授

1971年9月29日、岐阜県生まれ。
日本建築学会賞、JIA日本建築大賞、Dedalo Minosse国際建築賞特別賞、Architecture Master prizeなど国内外において受賞多数。
代表作品に「ROKI Global Innovation Center –ROGIC–」「NICCA INNOVATION CENTER」「梅光学院大学 The Learning Station CROSSLIGHT」「光風湯圃べにや」など。 その場所の歴史や自然環境と人間のつながりを生む、新しい建築や場の創出に取り組む。
設計関係者
  • PM/CM:日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
  • 劇場コンサルタント:株式会社シアターワークショップ
  • 設計:小堀哲夫建築設計事務所
新・帝国劇場 建築デザインコンセプト 「THE VEIL」

新・帝国劇場の建築のコンセプトは、「THE VEIL」です。

帝国劇場は皇居に面し、水のきらめき・美しい光・豊かな緑といった唯一無二の環境に恵まれています。それらの自然を纏い、自然に包み込まれるようなイメージが、新しい劇場にふさわしいと考えました。自然の移ろいを感じながら、ヴェールの向こう側の世界を想像することで、人々の期待感は最高潮に達します。そして、ホワイエの華やかな風景が街から垣間見えることで、街の舞台となるような劇場となります。

正面性をもったエントランス・ホワイエ・客席・舞台への連続性は、新たな帝国劇場の格式をつくります。ヴェールのように幾重にも重なる空間をくぐり、体験が変化していくことで、客席に至るまでのアプローチ全体も含めて、この場所でしかできない豊かな観劇体験をつくり出します。帝国劇場のもつ華やかさを発展させながら、世界に向けて発信できる日本の劇場として、すべての人に高揚を与える、そして心地よい空間となることを目指します。それは「未来を見つめた日本らしさ」でもあります。これらのコンセプトのもと、関係者とともに現在設計を進めているところです。

「帝国劇場 エントランスイメージパース」
※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性があります

3代目は、世界最高の「ここちよい帝劇」に。

1911年に開場した第一期の帝国劇場は、伊藤博文、渋沢栄一らが発起人となり、実業家・大倉喜八郎の主導で、建築家・横河民輔の設計により白亜の殿堂と呼ばれた、日本で初めての本格的な西洋劇場として建設されました。豪奢なつくりの劇場では、歌舞伎、シェイクスピア劇、バレエなどが上演されました。1923年の関東大震災で内部が焼け落ちたものの、翌年には改修を行い、1964年の閉館のころはパノラマスクリーンの映画館として営業し、建て替えに入りました。

1966年に開場した二代目となる現・帝国劇場は、東宝演劇部の役員で、劇作家・演出家である菊田一夫が「“ふだん着で見られる世界最高の劇場”これが帝国劇場の合言葉でございます」として陣頭指揮をとり、建築家・谷口吉郎の設計による、モダニズムの香り豊かな劇場となりました。大河小説『風と共に去りぬ』の世界初の舞台化を念頭に、舞台セット転換のための、地下深くまで使った盆、セリ、広大な舞台袖を備え、世界の様々なミュージカルの日本初演、オリジナル作品の上演を59年間にわたって続け、2025年2月をもって再開発のため休館します。

そして、3代目の帝国劇場は、最先端の技術を備えた世界的に最高の劇場を目指すことはもちろん、観客、俳優、スタッフにとって、また、帝劇のある日比谷の街で暮らす人々にとっても「ここちよい帝劇」を目指して、建築家・小堀哲夫氏による設計が順調に進められています。

「帝国劇場 劇場内イメージパース」
※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性があります

新・帝国劇場の特徴
  • ①劇場の配置を90度回転/正面性のあるアプローチ メインエントランスはこれまでと同様、5th通り側になりますが、劇場の配置を90度回転することで、エントランスの正面に客席を配置した計画となります。正面性が高まることで格式高い劇場空間になるとともに、開演・終演時の混雑緩和に配慮した動線計画となっています。
  • ②見やすくゆとりがあり一体感のある客席 この場所でしか体験できない、より一体感が感じられる客席空間とします。現在の劇場と同等数程度の客席数を設けながら、より見やすいサイトラインを備えた、ゆとりのある座席とし、今まで以上に快適な観劇環境とします。あらゆるお客様が観劇を楽しめる多様な客席を計画しております。
  • ③最先端の技術を備えた、演出の可能性を最大限引き出す舞台 現在の劇場と同規模の舞台空間とし、演出の自由度のある設えとしております。舞台袖上部には、十分な作業性・安全性を確保したテクニカルギャラリー等を設ける計画としています。さらに世界レベルの最先端の舞台技術を導入いたします。楽屋やスタッフのスペースの快適性にも配慮し、誰にとっても心地の良い劇場を目指します。
  • ④ロビー・ホワイエ空間・機能の強化/劇場と日比谷の街をつなげる劇場カフェの整備 ロビー・ホワイエ空間が広がり、より心地よく過ごせるとともに、カフェやバーなどの充実を図ることで多様な過ごし方ができる空間となります。またトイレ等のユーティリティ機能を拡充し、幕間も含めた総合的な観劇体験の充実を図ります。さらに、有楽町駅側の南東の一角には、一般の方も利用できるカフェ等を劇場に併設し、観劇前後や公演以外の時間も楽しめる劇場となります。劇場と日比谷の街がより一体となって、地域に親しまれる劇場を目指します。
  • ⑤劇場全体でのアクセシビリティ強化 新たな劇場もこれまでと同様、都内の複合施設では数少ない1階に客席がある劇場となります。屋外から段差なく客席までアクセスでき、まちと劇場のつながりもより感じられる劇場となります。地下には、エレベーター・エスカレーターを設けた劇場ロビーを新設します。地下鉄からもよりアクセスしやすくなり、多様なお客様が劇場へ訪れやすい計画になっております。また施設内の商業スペース等へもアクセスしやすく、公演前後の体験も含めて、誰もがここちよく楽しめる劇場となります。
■参考「日比谷通り側から望む外観イメージパース」
  • ※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性があります